“働く”って、めんどくさくね? vol.04「“一生勉強 一生青春”by相田みつを」


こんにちは。家なし、職なし、84ismライターの桃子です。

今回のハチヨンインタビューは、大学院生の2人です。
大学4年間を遊び倒してすごしてしまったため、なーんに知らず、「そもそも“大学院”ってナニ?」からはじまる私に、ゆっくり丁寧に説明してくれた2人。

「勉強がめっちゃ楽しいねん!」という、受験生の自分が聞いたらなんだか羨ましいような悩ましいようなことを、目を輝かせながら語ってくれました。

勉強が楽しい、か……
“勉強”という漢字の正確な書き順を知らないことに、今ふと気づきました。

*************************

横山「“自由研究的”な生き方を」
古市「研究者は、世界を3倍くらい楽しめる」

左)横山じゅん(東京大学大学院総合文化研究科/東京都渋谷区)
右)古市憲寿(東京大学大学院総合文化研究科/東京都品川区)

横山じゅん プロフィール
1984年8月23日、兵庫生まれ。関西学院大学社会学部卒業後、上京。2010年4月より、東京大学大学院に入学。「地球の持続可能性につながるライフスタイル」をテーマに研究。

古市憲寿 プロフィール
1985年1月14日、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、東京大学大学院総合文化研究科修士課程を終え、2010年4月より同研究科博士課程。研究テーマは「若者とコミュニティ」。

Your Now 〜いまここにいること〜

ふたりとも東京大学の大学院生なんだね。

古市 はい。仲の悪い友だちです。しかも大学院に入ってから知り合ったのではなくて、ある船の上で知り合ったというあたりすごく残念な友人関係です。
横山 私たちは2年前、地球一周の船旅をしているNGOの“ピースボート”に乗ったときに初めて会いました。今は同じ大学だけれど、学年は違います。私は今年度から大学院の修士課程に入学したばかりなの。
古市 僕は修士課程を終えて、今は博士課程の一年目にいます。修士論文では、ピースボートでの経験を元に、「若者とコミュニティ」をテーマに論文を書いてみました。ピースボートはいろいろな種類の若い子がたくさん乗っていて、コミュニティとしてすごい面白かった!
横山 私は世界各地の人たちの生活感覚が知りたくてインタビューをしていたけれど、古市君は船内で大量のアンケートを取って本格的に“調査”していたよね。常に船内状況を熱心に分析していて変わった人だなーと思いました。

それからの付き合いなんだ!
今は大学院でふたりとも「社会学」を専攻しているんだよね。
なにを勉強しているの?

古市 僕は「若者とコミュニティ」というのが研究のテーマ。年齢でいうと、だいたい10代後半から、30代くらいのイメージ。

あ、つまり、ちょうど私たちの世代だね。

古市 僕たちは、バブル前と違って「学校を卒業して、会社に入って、定年まで働く」というモデルが当たり前ではなくなった世代。高校や大学を卒業しても、そのまま会社で働けるかもわからないし、働きたくないかもしれない。会社に入れたとしても、そこで40年勤めることが魅力的ではないかもしれない。そんな昔のモデルが成り立たなくなったなかで、“会社”や“家族”という昔当たり前だったコミュニティに代わるものが今は何であり得て、それがどうなっていくか…昔のモデルとは違う現実を生きなきゃいけない、もしくは生きられる現代の“若者”に興味があるんだよね。
横山 古市君が見た「ピースボート」は若者の新しいコミュニティだったんだね。
古市 今だったら頑張って若作りすれば大学生に見えるから、いろいろインタビューとかがしやすい(笑)。 だから、今しかできないことしようと思って若者研究をしているというのもあるかな。

横山さんは、なにを研究しているの?

横山 私のテーマは「先進国の人たちのライフスタイル」。
日本は「豊かな国」だと言われているけれど、そこに住む私たちの生活については『持続可能ではない』としばしば批判されたりするのね。それに対して、楽しみながらライフスタイルを変えようとしている人たちに注目しているよ。たとえば、“スローライフ”“ロハス”“フェアトレード”といったようなことを研究しているの。

“スローライフ”“ロハス”“フェアトレード”…どれも最近流行った言葉だね。

横山 そう。そういったものって、『地球にやさしい』っていう社会的な目標と、「健康でいたい」「きれいになりたい」っていう個人的な欲求とを結びつけた考え方だと思う。『地球にいいこと』を、なにかを我慢しながら持続していこうとするのはなかなか難しいし、その必要もない。だから“スローライフ”“ロハス”“フェアトレード”のように、楽しみながらやるということがとても面白いと思ったの。
だけどまだ、その効果を実感できる活動が見当たらない。たんなる自己満足にならないように、こういった“楽しんでおこなえるムーブメント”の効果について分析をしたいと考えているよ。大量のお金と資源を動かす先進国の人々の生活が、“地球温暖化”や“南北問題”のようなグローバルな社会問題の突破口として重要だと思う。

同じ「社会学」でも、ずいぶん違うんだね。

古市 社会学って、なんでも研究対象になりうるからね。たとえば目の前を歩いているお母さんと子どもが二人ともピンク色の洋服だとしたら、なんで二人ともピンクなんだろうっていうことも研究テーマになりうる。それを二人が着ているブランドから読み解くのか、お母さんの子供時代の経験から読み解くのか、メディアからの影響で読み解くのか。どんなことでも「なんでだろう」って考え始めると、すごく楽しいよ。
横山 たしかに古市君って基本的にいつも楽しそうしているよね。ピースボートでも争いが起こったときも、部屋が水没したときも目を輝かせていたし(笑)
古市 楽しいっていう表現でいいのかはわかんないけど…、なにが起こっても面白がれるよね。なにに対しても「なぜそれがそうなるのか」という理由を考えて、いろいろな見方をすることが研究になるから、いろんな角度で世の中を二重三重に楽しめる。不謹慎だとは思いつつ、幸せなことも不幸なことも、全部が研究対象になるんで、研究者はどこでもいつでも世界を楽しめる。
横山 そんなふうに世界を客観的に見ている人たちを見るのも面白いよね。学校には自分の想定外の視点で何かを探求している人たちがたくさんいて、そういう人たちに会うのも学校に行く楽しみだな。

大学院に行く以外の時間はなにをしているの?

横山 家庭教師のアルバイトをしているよ。教育関係の仕事は飽きない。シェアハウスで暮らしているのだけど、とはいえ、東京での生活はコストがかかるからかなり働いています。学費も払わなきゃいけないしね。
古市 僕は友達と一緒に会社をやってるよ。一応、こう見えてきちんと仕事してます。それと、たまに大学にゲストで呼ばれてレクチャーをする。東大では大学院生だけど、慶応大学には研究員として所属もしているので。僕の経験上、複数のコミュニティに所属し続けた方が絶対に楽しい。ある場所で何ともないことが、別の場所では何かになったりするから。

Your Vision aussie casino online 〜これから〜

古市君は修士過程を終えて、本を出版するんだよね。

古市 修士論文を元にした本が、8月に光文社新書から出版される予定です。『希望難民ご一行様』というふざけた題名だけど、コミュニティに何ができて何ができないのか、ということをピースボートを事例に考えてみた感じ。ナナメに見つつ、意外と愛のある内容になっていると思います。
横山 原稿をちょっと見たんだけど、すごく面白かった。ポップに書かれていて読みやすいのに、分厚い内容。自分が埋没している生活をちょっと上から眺めるような、不思議な気分になる。
古市 だって、クルーズ中に船に穴が開いて、アメリカの湾岸警備隊に拿捕されて、それに年配者の乗客が激怒して、それを見て若者が泣いたんだよ。こんな旅行クルーズ、研究するしかないじゃん。

大学院卒業後のことは、どう考えてる?

横山 一般的には、修士課程を卒業したら博士課程には進まずに就職する人が多いみたいだけど、私は博士課程に進んで、その後は研究者になりたい。たとえなれなかったとしても研究は続けていたいな。なんらかの形で自分の興味を追究する自由研究的な生き方がしたい。
古市 僕はもう仕事してるから、別に就職とかは考えないけどね。プロの研究者になるかどうかも、まだわからないし。でも博士号は欲しい。
横山 なんか、古市君はスイスイ世の中を渡っているように見えるけど、人生になにか不満ってある?
古市 現状に不満があるわけじゃないけど、満足するにはまだまだ足りないかな。
横山 なにが足りない?
古市 すべてが足りない。
横山 すべてって…。うーん、じゃあたとえば、博士号以外になにか欲しいものある?
古市 知識。知識が全然足りない。
横山 さらに欲しいんだ。

ふたりとも学ぶことが楽しくてしかたないかんじだね。
結婚や子どもについては、どう思う?

横山 結婚や子育てをすることは、あまり想像できないかな。
古市 僕もべつに…興味があまりない。
横山 例えば友達とか妹とか、身近な人に子どもがいて関われたらいいなと思うけど、私自身は別にしなくてもいいかな。いわゆる“夫婦と子ども”っていう家族のかたちじゃなくて、もっと別のカタチの生活でもいいと思うんだ。こういうのも、「ピーターパン症候群」っていうのかな(笑)

* ************************

ちなみに“勉”の書き順は、左上から順に書きはじめ、最後に“力”を書いて終わりです。合っていましたか?そして“勉”の部首は、左側じゃなくて“力”だそうです。知っていましたか?私は知りませんでした。いやー、勉強になった(気がする)なー。

相田みつをさんは、しばしばこう語っていたそうです。

「年をとって困ることは、身体が固くなるばかりでなくて、 頭が固くなること、心が固くなることです。心が固くなると、感動、感激がなくなります。 一生青春を保つためには、心のやわらかさを保つこと。そのためには、具体的に何かに打ち込んでいくことだと思います。」

これからも、車で日本旅行しながら、それぞれの“何か”に打ち込んでいる全国のハチヨン世代たちの話を聞いていきます。たくさんのハチヨン世代に会えるのを楽しみにしています!