ベトナム流お節介から見えるもの


「あなたは、結婚していますか?」
「なぜ結婚しないんですか?」
「なんで恋人作らないんだ?」

これが、ベトナム人との初対面の会話で、必ず聞かれる質問だ。

日本であれば、年齢を聞くことすら失礼だと考え、
初対面であれば、当たり障りのない会話で様子を見るだろう。
少なくとも僕はそうしてきた。

しかし、この国ではそんなことはお構いなし。
いきなりど真ん中直球ストレート勝負。
しかも、きちんと打ち返さないと、失礼に当たってしまうからやっかいである。
ちょっとは変化球を投げてもらいたいところだが、カーブすら存在しない国だと言える。

僕は24歳までベトナムという国に接したことがなかった。
それどころか、ベトナムに対しては、これまで戦争のイメージしかなかったせいか、
くら~い国だと思っていた。
そんなイメージだから、ベトナム人も何となく暗い人ばかりなのかなと思っていた。
ところが、実際に来て見たら、全くそんなことはない。
とにかく明るい人が多い。そして、人との関わり合いも、お節介なまで切り込んでくる人たちばかりだ。


*元気な生徒たち

例えば、ボランティアで関わっている日本語学校での授業風景を少しご紹介したいと思う。
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川村:「はい、ではまず自己紹介をしますね。僕の名前は川村泰裕です」
生徒:「先生!質問があります」
川村:「はい、何ですか」
生徒:「結婚はしていますか?」
川村:「していませんよ。」
生徒:「じゃあ、恋人はいるんですか?」
川村:「いません。ただ今募集中です。」
生徒:「(一同爆笑)何で先生は恋人がいないんですか?ベトナム人の恋人は欲しいですか?」
川村:「そうですね。ベトナム人の恋人はとても欲しいですね」
生徒:「(再度爆笑)先生!私のお姉ちゃんを紹介しますよ!今、先生と同じ歳でこの前恋人と別れました。悲しんでいます。先生チャンスですよ!」
川村:「はい、いいですかー皆さん。そういうことを日本では[余計なお世話]って言いますよ。テストに出しますので覚えておいてくださいね!」

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もちろん、きちんと授業はするのだが、毎回一度は恋愛トークになる。

また、ご飯を食べにお店へ行ったときも、
「お客と店員」という垣根が日本と比べて格段に低い。
いや、低いというより、ないという方が正しいかもしれない。
一旦お店に入れば、必ず、
「結婚しているのか?恋人はいるのか?」と聞かれるし、
「いない」と答えると、すぐさま「じゃあ、ベトナム人はどうだ?」と突っ込まれる。
この間、ご飯は出てこない。(笑)

お客もお客で、かわいい女性店員がいたら、所構わず携帯番号を聞きまくったりしている。
店員もその人がかっこよかったりすると、その気がないわけではないらしく、店内でもお構いなしに、教えていたりする。
その姿を見て、「おいおい、仕事しろよ!」と思ってしまう一方で、
正直、羨ましい気持ちがないことはない、ということをここに告白しておく。
(ちなみに、僕も一度挑戦してみたが、あえなく撃沈。この時、ベトナム語を本気でやろうと決心した!笑)

正直、ベトナム人の対人コミュニケーションは日本人からすると余計なお世話なことが多々ある。
しかし、ベトナム人たちのこうした気質から学ぶことはとても多い。
日本は、「先生と生徒」「お客と従業員」のように白黒がはっきりしている国だ。
一方、ベトナムは、「白」なのか「黒」なのか良く分からない「グレー」な部分が見事なグラデーションを描いて存在している。
もちろん、互いにいい面も悪い面はある。
しかし、僕が日本にいたときは、社会的な「白」「黒」があまりにはっきりと分けられてしまっているから、
中々思い切った行動が出来ないことが多かったように思う。
実際、僕もベトナムで働く決断をした時、それはそれは叩かれた……。

しかし、ベトナムにいる今、何か問題に直面すると、
白か黒なのか、それともグレーなのか、全く分からないのでとりあえず行動をして、確かめるしかない。
そんな日常を送っていたお陰で、日本にいた時よりも、行動することに余り躊躇いがなくなったように思う。

今、自分が身を置いている環境に、少しでも疑問がある人は、一度でも日本を離れて、海外で「働く」という経験をすることをおススメしたい。その中でベトナムに興味のある方は、ご一報ください。ぜひお話しましょう。

今回のコラムは以上です。
ここまで読んでくださりありがとうございました。


*バイクではしゃぐ友人

この記事を書いた人

川村泰裕
ベトナムで働く川村泰裕です。企業からの赴任ではなく、単身乗り込んで仕事をつくろうと日々奮闘中。
BLOG:ベトナムフエで仕事を創る

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