日本語を最大限生かした格闘技、UMBのすすめ


アルティメットエムシーバトル(UMB)とは?



アルティメットエムシーバトルとは、ライブラレコードが主催する大会で、
昨年は、全国各地23箇所で予選が行われ
毎年、1000 人近くのMCが参加をし、優勝者を決めます。

ルールは簡単で、同一のトラック(音楽)上で交互にラップをし、
かっこいいと思ったMC(ラッパー)に観客が声をあげ、
より声が多く上がった方が勝者。

アメリカの白人ラッパー、エミネム主演で映画化された、
8mile の日本語版と言った方がわかりますでしょうか。

今回は、このアルティメットエムシーバトルについて興味を持っていただければと思います。

トップオブザヘッド?即興性を重んじられる。

作ってきた”ネタ”は、嫌われ、
もっともセンスのあるラップをその場の”即興” で演じるものが勝者。

UMB2006年準決勝
岡山代表フェイダワン VS 横浜代表フォーク

勢いのある若手ラッパー、岡山代表のフェイダワン。
ベテランの横浜代表のフォークはたんたんと韻を踏みます。
決めては、フォークの3本目。
「だいぶ形になってきた”準決勝”。岡山で勝ったのはどうせ”運でしょ”?」
「フリースタイルの”表裏”、岡山で勝ったぐらいで”のぼせるなあ”?」

前回のコラムの最後にの載せた同じく横浜代表フォークと大阪代表のHIDAの一回戦では、フォークが、「まるで引田天功」とラップすれば、ヒダは、「”引田天功 ”?おまえのラップは俺を”ひきたてんぞ”?」
とあわせたり、相手のラップにあわせて韻を踏む。
ダジャレみたいな言葉遊びですが、実際即興でやるのはすごく難しいです。
頭の回転の速さを競う、高度な言葉遊びです。

スタイルウォーズ!多種多様なやり方。

勝者は、観客が決めますので、その時代にあった結果が出ると言えます。
明確な基準はありません。
その場にいた、観客が勝たせるべきだと思うラップを披露したMCに声をあげます。

なので、例えば、昨年のUMBの決勝に観戦しに行きましたが、
私の基準では、優勝者の鎮座ドープネスよりも、
バトルとしては、ポニーが勝ったと感じたので、
ポニーに声をあげましたが、勝者は鎮座。
自分の同じセンスの観客が多ければ優勝はポニーでしたでしょうし、
そのあたりが面白いような歯がゆいような、MCバトルの一面です。

戦慄MC BATTLE 10 腐悪akaハハノシキュウ vs PONY

UMB以外にもMCバトルは普及しており、日本全国で多くの大会が繰り広げられています。
昨年の敗者復活戦勝者で決勝大会において、優勝者の鎮座ドープネスに破れたポニーとハハノシキュウのバトル。
小道具(リンゴ)を出して動揺させてみたり。

上記は、浦和のBASEというクラブで定期的に行われている大会ですが、
基本的にMCバトルは深夜のオールナイトで開催のため、
未成年だけ参加可能のMCバトルが昼間に開かれたりもしてます。

B BOY PARK UNDER 20 MC BATTLE
毎年代々木公園で行われるフリーイベント、B BOY PARKにて行われた、
20歳以下限定のMC BATTLE。
今年は開催されるか怪しい話がでていますが、
上記リンクにて、2009年のバトル映像が見えれるので必見です。

戦慄MC BATTLE (浦和BASE)
浦和BASEにて定期的に行われているイベント。
YOU TUBEにも動画が多くアップされています。

・ダメレコ主催3on3 MC BATTLE
定期的に行われ、UMBの決勝大会進出経験者達や有名アーティストが
3人チームとなりトーナメントで戦う異色のMC BATTLE。
UMBと並んでDVDが多く出ているので興味があればぜひ購入してみてください。
DVDの音が正直あまり良くありませんが・・。

クレバが三年連続優勝。日本におけるMCバトルの歴史とSSWS。

日本のMCバトルの歴史を遡るとB BOY PARKのMCバトルが有名で、
キックザカンクルーのクレバは、99年から3年連続で優勝してます。
UMBの主催者の漢(MSC)や、般若、志人(降神)などアンダーグラウンドで活躍するラッパー達も、こぞって参加していました。

当時は、クレバスタイルという名でクレバのスタイルが流行しており、
相手の服装や名前で韻を踏むのがセオリーでした。

B BOY PARK 2001 決勝 キンダシャーロック VS KREVA

いま聞くとかなり恥ずかしいですが、当時は即興で韻を踏むだけで衝撃的でした。

また、UMB開催以前から、新宿スポークンワーズスラム(SSWS)という名のイベントも
新宿マーズで開催されており、こちらは、ラッパーだけを対象とせず、
ポエトリー、漫談なんでもありの言葉の異種格闘技戦。
詩人の小林大悟や、SUIKA、ラッパーのナノルナモナイ(降神)などが過去に参加しています。
SSWS – シンジュク・スポークン・ワーズ・スラム-

2009SSWS グランドチャンピオントーナメント
準決勝 wonderboy 『世界征服やめた』

MC BATTLEのように即興でラップをするMCと
wondeboyみたいに自分の世界を作り込んできたポエトリーリーディング。
それらの表現がどちらがすばらしいか審査したりと混沌とした大会です。
いまは開催されていませんが、神門(ゴウド)などが参加していた京都版SSWS、
KSWS(京都スポークンワーズスラム)などの開催も過去にありました。

あわせておすすめ!


UMBから始まり、いろいろな言葉のカルチャーを紹介しましたがいかがでしょうか。
アマゾンをみればいくらでも関連のDVDが出ていますので、
興味があるものがあればぜひ見ていただければと思います。

今回おすすめしたものはいかにその場で即興で相手をディスるかでしたが、
もっと時間をかけてつくりこんだディスで争うものもあります。
相手をけなすことで人気が取れる唯一の音楽。日本語ラップのすすめ。

また、日本語ラップにこれでご興味お持ちいただければ、こちらもあわせておすすめします!
オシャレで知的な音楽!日本語ラップのすすめ。

一人でも多くの人に興味を持っていただくことを願って。