「1984」という名の広告


初めまして、コラム担当の安藤直人です。

インターネット広告の仕事をしています。
具体的には、リスティング広告と呼ばれる、検索結果の右側に出る広告を売る仕事。

僕たちが生まれた1984年、こんな広告はありませんでした。
広告と言って思い浮かぶのは、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどのマスメディアだった。
それがここ10年くらいの間で大きく変化しています。

そんなわけで僕のコラムでは「ウゴクコウコク(動く広告)」と題し、
街やwebで見かけた「人を動かす」面白い広告や
今の時代に「動いてゆく」広告の変化をお伝えしてゆきます。

さて第1回目の今回は、84ismの発行と同時に始まるこのコラムにおいて
どうしても外せない広告をご紹介したいと思います。
その名も「1984」。
タイトル通り、僕らが生まれた1984年にアメリカで流れたテレビCMです。
では、どうぞ。

最後のナレーションまで何のCMか分からなかった方も居るかと思うのですが、
これ、Apple社のMac(マッキントッシュ)が発売された時のCMなんですね。
CMには、Macの商品映像どころか、Macがどんな物なのかも語られてはいません。
しかもこれが公式に流れたのは、1984年の1月、スーパーボウルと呼ばれるアメリカンフットボールの決勝戦のテレビ中継ただ一度だったのです。
それにも関わらず、このCMは広告好きの人にとっては「伝説のCM」となっています。

CMは、マスクの男たちに追われる女性アスリートが、男が映るスクリーンに
ハンマーを投げて爆発させるという非常にショッキングなものです。
そして最後に、このような文章が。

1月24日、アップルコンピュータはマッキントッシュを発売。
1984年が、『1984』のようにならない理由が分かる。

見ている人は、ここで初めて今までの映像が、ジョージ・オーウェルの小説『1984』の舞台であったことに気付かされるのです。
そして同時に、スクリーンに映った男が独裁者であることにも。

Macと言えば、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を広めたコンピュータとして有名です。
しかしながら、コンピュータ業界がIBM社の独擅場だった1984年当時、コンピュータは今よりもっと分かりづらいものでした。
この、CMに出て来る独裁者はIBMを隠喩していたと言われています。
つまりこのCMには
「普通の人々にも使いやすいMacが発売されることで、実際の1984年は小説「1984」のように支配的にはならない」
というメッセージが込められているのですね。

それから26年が過ぎました。
人々にとってインターネットが当たり前のものとなり、
「1984」のCMのような一方的なメッセージの発信は既に過去のものとなっています。
そして1984年にMacを発売したAppleはいま、iPhoneをもって
そのインターネットの世界を、更に人々にとって身近なものにしようとしています。
コラム「ウゴクコウコク」ではそんな世の中の変化に
広告というものがどう対応していくのかについて考えていきたいと思います。

では、また次回。

安藤が友人と書いている、個人blogはこちら。
ハチヨン dialog

http://84dialog.blogspot.com/

この記事を書いた人

安藤直人
埼玉出身、今は大崎でルームシェア中。平日はリスティング広告を中心にネット広告を売っています。好物はインターネットと広告。84ismではコラム「ウゴクコウコク」を担当しています。84ism以外にも、1984年生まれの友人3人と以下のブログを書いているのでそちらも宜しくお願いします!
BLOG:ハチヨン dialog

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