長島☆自演乙☆雄一郎「好きなことはとことん突き詰めたい」


長島☆自演乙☆雄一郎「好きなことはとことん突き詰めたい」

今回のインタビューは、ハチヨンK-1ファイターの長島☆自演乙☆雄一郎さん。コスプレファイターというスタンスを貫いている理由や、それに対する自身のストイックな考えを話してもらいました。

いわゆる“普通の子”だった

いつぐらいから格闘技は始めたの?
小学校4年くらいから柔道やってました。その後は中学校受験をしたんで、2年くらいですぐ辞めましたけど。

中学受験ということは、親が行かせたかったの?
親が受験をさせた感じですね。いわゆる教育系な感じだったので。普通に大学に行って就職させたかったんでしょうね。
中学で部活に入ったんですが、そこからあんまり学校に行けてなくて。いわゆる登校拒否みたいな感じですね。登校拒否している人間が部活に顔だせるわけないじゃないですか。だから学校行ったら部活行くけど、学校行かないときは部活にも行かないってことはよくありました。

登校拒否のきっかけって?
学校がいわゆるスポーツ校だったせいか、スポーツができる人からいじられるわけですよ。で、そのいじられが面倒くさかったり、イヤだったりで、それで学校を数日休んだら、そこからだんだん学校には行けなくなっちゃった感じです。正直学校行っても面白くないし、って思ってましたね。で、おかんが仕事行くまで家に居る間、学校行ったふりして公園で遊んで、おかんがいなくなったら家に帰ってゲームしたりしてました。

じゃあそんなアクティブな子ども時代じゃなかったんだね。
全然ですね。超インドアですよ。それこそゲームはファミコンやらスーファミやらやってましたし。あの時代だと、ボクはセガサターン持ってましたよ。そのあとドリキャスにいったりして。

性格はどんな感じだったの?
でもそこまで暗い感じというわけではなかったですよ。もっと言うと、いわゆる“普通の子”って感じです。それに力もそんなにあるほうじゃなかったので。登校拒否とかしてるから練習にも出れてないから、そこまで強いとも言えないし。

長島☆自演乙☆雄一郎「好きなことはとことん突き詰めたい」

高校時代はどうだったの?
中2くらいの時から空手を習い始めたんですが、高校でも登校拒否が続いていました。ただ空手は真面目に通いました。空手習い始めてからだんだん自信がつき始めてきましたね。その自信っていうもの、強い弱いというものじゃなくて、自分自身の行動に対して自信がつき始めたんです。当時の自分なりに、自分自身で一つのことを一生懸命やり続けてきたという自信です。もちろん喧嘩で自分を守れる、というのももちろんですが、それ以上に自分自身に対するものが強かったですね。

まわりよりも、自分は強いという実感はなかったの?
多少はあったかもしれないけど、元々が登校拒否しているような人間だからそこまで対して変わんないですよ。人間って気持ちはそんなにすぐ変わんないですし。

じゃあ、高校ぐらいから空手とアニメの両方を楽しんでいた感じ?
そうですね。あの頃だとテレ東系のアニメとか見てましたね。ただあの頃はそういったことを話せる友人はそこまで周りにいなくて。そもそもインターネットも普及してなかったですからね。携帯すら高校時代はもっていなかったですから。だから登校拒否しながら空手に通うという、よく分からない生活を送ってましたね(笑)。

でもそれができたということは、空手が好きだったの?
そうですね。空手は好きでしたね。というか、周りも大人だし、居心地がよかったというものもありますね。

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プロへの意識

高校卒業後の進路はどうして大学進学だったの?
アニメは好きだったので、声優になりたいと思って声優の学校のパンフを集めまくったりしてたんですよ。だから声優の学校に行くか、大学に行くか正直迷いました。めっちゃ考えたんですが、最終的に地元の大学を選びました。まあ推薦で大学に受かったというのもあるんですけどね。なんで登校拒否のやつが推薦で受かったんだろうという思いもありましたが(笑)。ただその当時、空手でそこそこ成績をあげてたから、それもあったのかもしれません。受けた大学は福祉系です。学校行けてなかったという経験から、医療や福祉系に行こうかなという考えもあって、児童福祉方面に行きたいという思いもありました。

そこからプロへの意識は?
大学で日本拳法部に入部しました。大学に受かったから声優という道も半ばあきらめましたね。そこから、もともと中学の頃にアンディ・フグに憧れたというのもあって、プロの格闘技というものに興味をずっと持っていたので、「それじゃあ俺大学卒業したらプロになろう」って決意しました。プロになるというのは夢として高校ぐらいから持ってたし、大学入学したから本格的に目指そうと思いました。ボクの得意な直突というのがあるんですけれども、日本拳法の独特の突きの技術を大学の部活四年間で磨いてそれを武器にしてプロになって活躍してやる、という思いでした。

目標ができてからの生活はどうでした?
全然変わりましたね。日本拳法自体も好きだったし、色んなところに遠征したりしてたので、引きこもるということはなくなりましたね。あと、その頃2ちゃんを覚えたりして(笑)元々ネットに触れたのも大学時代で。自前のPCもったのもその頃ですし。

元々アニメ好きだったけど、ネットとアニメはつながってなかった?
ボクは元々DVDやビデオで見るのが好きだったので、ネットはホント全然でしたね。最近は色々とネット配信を見たりしてますけど。そういう意味でもネットはまだまだですよ。格闘技という分野ではそこそこかもしれませんが、真のアニメ好きにはまだ敵いません。逆に色々と教えてもらっている立場ですね(笑)。

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名前の由来も、その2ちゃんからなんだよね?
2ちゃんで日本拳法スレを見てて、俺が試合で勝ったとかの内容になると、「はいはい、長島自演乙w」みたいにすぐなって(笑)。なんかそれがすごいネタになって、常に自演乙って書かれてたんですよ。まあ自分でも書き込んだりもしますけど、自分で「長島良かったね」とは書かず、「今日の優勝したやつよかったね、だれだっけ?」みたいな感じで煽ったりはしましたけどね(笑)。

じゃあ、あながち自演乙も間違いではないんだ(笑)。
自分で振ったりはしますけど、自分で褒めたりはしませんよ。いわゆる、キラーパスみたいな感じですね(笑)。

いわゆるオタクと呼ばれるような人たちからの支持も多い?
だいたい半々くらいですね。すごくありがたいですね。でも僕自身がオタクの人たちの認知や社会的云々やら道を作ろうという気持ちはなくて、自分が好きなことを好きだと思ってやっているだけです。それこそ格闘技もアニメもどっちも大好きですから。どっちも好きだから、どっちもやってやろうという思いですね。

自分へのプレッシャーと“魅せる”意識

よく言ってる、アニメ布教をしたいという考えって?
食わず嫌いとかじゃなくて、多くの人にただただアニメを見てほしいという気持ちですね。かわいいキャラがいるとか、シナリオが凄いっていうことを知ってもらいたいという意味で、アニメ布教と言っています。なので本職はアニメを見たりコスプレをすることがメインで、それに格闘技が好きという立場から、できるだけ多くの人にアニメを見てもらいたいから、自分は格闘技という手段で広めているんですよ。だからキックボクシングでプロデビューしたときからずっと同じスタイルを貫いていますね。

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でも、本職がコスプレで格闘技が趣味って言うプロフィールは、勇気がいる言い方だよね?
正直これは勇気がいりますね。でも同じ格闘技の同業者からは何も言われないですね。だって自分が格闘技に対して真剣に取り組んでいることを知っているから。自分の日頃の練習やら格闘技としてのテクニックやら練習や試合に取り組む姿勢を知ってるし分かってるから。もちろんアマチュアでちょこっとやってた程度なら言われると思いますけど、同じプロの中で活躍しているから一切言われないです。逆に「しんどいでしょ?」とかって言われることはありますけど。

そういう意味で、中途半端なものだったら意味がないですよね。
そうですね。そこは自分に対してのプレッシャーですよね。コスプレして負けましたっていうのだと、まわりからも辞めたら?って言われるじゃないですか。しかもデビューし始めたころからやってるわけですから。そういう意味でプレッシャーになってますね。それにコスプレも中途半端だったら逆に意味もないし。もちろん叩かれるのも目に見えてるし、格闘技側からもアニメの側からも言われるのは分かってます。だからこそ、自分は試合に勝たないといけないんですよ。

分かっている上でそれを乗り越えるという強い思いですね。
やってるからには負けられない、という意識ですし、やるからには中途半端じゃなくてとことん突き詰めないと、という思いですね。どっちも本気なんですよ。
なので正直言うと前回の大会(2010年3月27日、K-1 WORLD MAX 2010 〜-70kg Japan Tournament、K-1 MAX史上初となる全試合KO勝利で初優勝を果たした)では、ラストチャンスという意識もありました。これまでに連敗しているという思いもありますので、これが最後かもしれないという思いで逆に好き勝手やったろうという気持ちもあって、入場シーンでは、ダンサーをめっちゃつけて派手に入場してやろうと思ったんですよ。最後やから自分はあまりおどらないかわりに衣装派手な東方えらんでダンサーも踊って盛り上げてもらったんです。

長島☆自演乙☆雄一郎「好きなことはとことん突き詰めたい」

そういう意味で、“魅せる”ということを大事にしてますよね?
もともとプライベートではコスプレしないんですよ。なので、ボクにとってコスプレは、「パフォーマンスプラン」なんです。プロになってなにか派手なパフォーマンスをしたいという思いを持っていたときに、ハルヒの制服のメンズを見つけて、これは面白いなぁと思い、その年に冬コミに参加したりしてからがコスプレのきっかけですね。そしたら今じゃコスプレイベントに今度は仕事でゲストで呼ばれるようになったりして(笑)。
でも、そういう意味で、観客が楽しんだり、盛り上がったりするという意識は常にもっていますね。そういう意味で魅せることは重要視していますね。オタクなアスリートって意外といますけど、みんなあまりオープンにしないじゃないですか。でもボクはもうやりきっちゃいましたからね(笑)。逆に気持ちいいですよね。

アニメが好きということは、やはり二次元が好きなんですか?
ボクの中での絶対的なものがあって、それは「二次元を超える三次元はない」ということです。例えば、二次元でツンデレのキャラがいるとすると、そんな人現実には存在しないじゃないですか。それを求めてツンデレっぽい人とかいますけど、なにか物足りないですよね。だからもう、アニメのキャラまんまが出てほしいですよね。でもそれって不可能だから色々と妥協しているわけですよ。それこそARとかで等身大のキャラがでたりして、今は視覚だけだけどそれが触覚とかが可能になるとそこからタッチしたりできるようになればもう最高ですよね(笑)。

ボクでできたからみんなもできるはず

今後どういった活動をしていきたいですか?
やはり最終的な夢、「声優」をやりたいですね。こないだ声優をやらせていただいたのですが、自分として全然満足できるものでなかったので、まだまだ練習不足です。アニメ好きなだけに、そこは自分自身に対しても厳しくいかないと。声優さんの偉大さを実感しましたね。ボクなんて格闘技で例えたらアマチュアですよ(笑)。声優って、それなりに長く活躍できると思うんですが、格闘技はある意味今しかできないことなので、今は格闘技を100%打ち込みたいと思っています。

K-1ファイターとしての今後はどう考えてます?
それはやはり、世界チャンピオンですね。今回、日本一になったので、次は世界、そして日本連覇という目標もありますね。あと、IT格闘家という方向でも攻めたいですね。それこそARみたいなものを使ったり、あとTwitterやUstreamを使って色々と仕掛けていったりしたいですね。Twitterとかってファンとの交流だったり色んな人と話せて楽しいですからね。それらを駆使していきたいですね。

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同年代に対して、どう感じます?
今の25~26くらいの人って、自分がやり始めたものが形になり始める時期じゃないですか。くすぶっているものが出始めてきた時期ですよね。ボクはやりたい事が格闘技で、好きなものがアニメという立場でやっていきたいという思いがあって今それなりに形になってきたと思うんです。また、それぞれの立場が違ったりすれば、それぞれの道があるわけですから、ボクから言えるのはお互いに頑張っていきましょう、という思いですね。ボクが出来ているわけですから、みんなもできると思うんですよ。ひきこもりで、決断力も無くて特に考えもなかった自分が、ここまでこれたわけですから。覚悟次第だと思います。何をやってもできると思います。それこそ、同い年で天下取りたいですね。

そう言えるだけ、やはり人一倍努力しているわけですよね?
それだけ努力したという自信はあります。それだけ自信を持てるほど懸命に自分はやってると思うし、それだけやってきたからこそ言える自信もあるわけです。やはり中途半端はしたくないですし。もちろん周りのサポートもあったからこそだと思います。そういう意味で、こうやって健康にそして強い体に産んでもらったことに対して親には感謝したいですね。登校拒否をしていたときにもサポートしてくれましたし、悲しい思いも何回もさせたりしたので。K-1チャンピオンになったということも恩返しの一つですけど、今回の日本一になった大会の賞金も親に対しての感謝の気持ちで渡したいですね。

最後に一言
名前の☆の由来が、つのだ☆ひろを超えるという意味だったんですが、今は少し変わって、ちょうど☆が2つあるので、アニメと格闘技の2つを極めるという意味にしていきたいなと考えています。まあ後づけかもしれませんけど(笑)。でも、それだけ言えるだけ突き詰めていきたいという思いでいきたいと思います。そういう意味で、今後も今のスタイルは変えずに、アニメが好きで、世界に対してアニメ布教をしていきたいと思っています。まだアニメが知られていない国でボクが試合をしに行って、アニメの良さを伝えられたらいいなと思っています。また格闘技としても、倒すか倒されるかという中で見ていて楽しい試合を提供したい、と思うのがボクのプロ意識だと思っています。それは絶対に変えたくないですね。

長島☆自演乙☆雄一郎「好きなことはとことん突き詰めたい」

貴重なお話をありがとうございました。今後とも活躍を応援しています。
ありがとうございました。

長島☆自演乙☆雄一郎
1984年7月2日生まれ兵庫県出身。
K-1 WORLD MAX 2010 〜-70kg Japan Tournament〜王者、初代ニュージャパンキックボクシング連盟(NJKF)スーパーウェルター級王者。

長島☆自演乙☆雄一郎オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/jienotsu/
長島☆自演乙☆雄一郎 (jienotsu) on Twitter
http://twitter.com/jienotsu