南半球からこんにちは。こちらは祖国が暖かくなっていくほどに、次第に寒くなっていく、世界から隔離された都市メルボルンです。
今日もシェアメイトに白米を炊いていて驚かれました。日本人以外の諸国のひとたちは、何かしら混ぜて米を炊く傾向があって、白米だけをおかずと食べるってことがあんまりないわけです。あー、なんてすんばらしい日本のコメ文化。
さて、日本の宝として白米の次に忘れてはいけないのが、日本男児です。日本男児といえば、腹を切ったり指を切ったりしちゃうくらい肝っ玉が大きくて、清潔で優しくて繊細でお洒落、長時間労働で、ゲーム好きでたまに引きこもりで、そういえば、かつては手裏剣もなげたとか…。なんて魅力的なんでしょう!
しかしながら、当方、そんな日本男性を横目に、ひょんなことから国境を越えた恋愛に突入してしまいました。東京でカナダ人男性(以後クマと記載)と恋に落ち、とんでもない人生に足をつっこんでしまっています。
さらに現在私はメルボルン、クマは東京で暮らすという遠距離状態です。
毎日連絡を取り合っていた私たちでしたが、この5月の頭から3週間、突然彼から音信不通になりました。一週間半が経過したある日、あまりにも心配になった私は、クマが住むところの不動産に連絡。クマの安否が確認できました。何故だか、電話越しに不動産屋の女の人が笑ってるかんじなので、恥ずかしさでいっぱいでした。あーこれは、キチガイストーカー女が電話していると思われたに違いないと思い、本当に生きているのか確認すると、電話を切りました。「そうか、ただ無視されていただけか。なんて悲しいんだ」と思って何日か、ゲロ吐いて、下痢をして、を繰り返しました。
しかし、2週間が経過して、やはりなんとも心配で仕方ない!と思った私は、今度はカナダの実家のお母さんに電話してみました。つーつー。お母さんにはカナダで会ったことがあるのですが、特に馬が合ったわけでもないので電話なんかできればしたくない、緊張の一瞬でしたが、ただとにかく心配している旨を伝えたところ、なんと、お母さんも音信不通になったとのこと。音信不通で心配だから、クマの東京での友達のエイドリアンに連絡したとのこと。あーはいはい、エイドリアンなら会ったことがあります。昔東京のアパートで宇宙の創造について、夜更けにスピーチはじめちゃってた人です。はぁ。エイドリアンによると、彼は生きており、●日まで特殊な事情があって連絡できないとのこと。ますます謎が深まり、こんなに振り回されていたら心臓が何個あっても足りないぞコラと思いつつも、連絡を待つより仕方ありません。
まぁ、クマは猫みたいなやつなので、失踪した猫が帰ってくるおまじないでもするしかないかと思い、仕方なく「まつとしきかば今帰りこん」と大きく書いて、玄関のところに貼っておき、クマから連絡が返ってくることを神に祈るばかりでした。発狂寸前の私は、小さい頃ミッション系の某●百合幼稚園でシスターに強制されて習ったカトリックのお祈りをぶつぶつ唱える始末。「天にまします我らの父よ願わくは。うん?なんだっけ?ほにゃららほにゃらら」と、ものすごい昔の出来事で殆ど覚えてないけれど眠れないのだから仕方ない、ぶつぶつ、といったかんじでした。もう百人一首だろうが、キリストの主の祈りだろうが、悪魔くんの呪文だろうが、なんだって連絡が返ってきさえすればいいから助けてくださいという心境。
ついに●日がやってきた日。クマから連絡が!クマは留置所に20日間収容されていました。ともかく無罪で強制送還もされずにかえってきたクマ。139ページの手記をもくもくと書いていたそうです。なんで罪に問われたか…。ともかく無罪です。ほんとうにいい歳をして馬鹿なクマです。だけど、留置所にいて毎日番号で呼ばれ、人生についてゆっくり孤独に苦しみながら考える時間を誰しも持ってもいいのかもしれない。わけないです。
ちなみに親友は、クマが人と話しちゃいけない修行に取り組んでいるとの仮説を立てていたそうです。まぁ何はともあれ無事に帰ってきてよかったね。
ということで、国際恋愛なんて、遠距離恋愛なんて絶対おすすめできません。日本男児と付き合っていれば、強制送還も音信不通も私の人生からは全く無関係の四字熟語だったはずなのに。一トンの塩をなめるつもりじゃないとできません。いや国際恋愛じゃなくて、問題はてめえの彼氏だけだという声も聞こえてきそうですが、これからも救いのないような苦い体験の一部始終を書いていきたいと思います。