ライフプラン01「結婚」


このコラムは、僕らハチヨン世代をはじめとする若者の仕事、お金、結婚をはじめとしたライフプランを、本を通じて考えるコラムです。

今回の本は、
「なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望」

「希望格差社会」で著名な山田 昌弘の著作。

内容紹介(amazonより引用)

大人は、若者こそが、新しい時代を先取りした革新的な意識を持っていると考えがちである。しかし、最近の様々な調査結果から、若者の多くはリスクを嫌い、何よりも安定を望んでいることが明らかになってきた。なぜ若者は安定志向に走るのか。「草食系」と呼ばれる若者を急増させた社会的要因とは何か。
「格差社会」「婚活」といった流行語を世に出した社会学者が分析・検証する若者の「失われた20年」 

この本を通じて、「結婚」について考えさせられた。

晩婚化とよく言われてはいるものの、社会人になって、働き出してから「こんなに未婚の人はいるんだ」と実感した。特に男性の40代以上と女性の30代以上に。自分や友人の両親は30歳前後で結婚して家庭を作っているので、それがなんとなく当たり前だと思っていた。

実際のデータを著書より引用してみると、

【データ】未婚率の推移 1985年→2005年
男性25〜29歳 60.4→71.4%
男性30〜34歳 28.1→47.1%
女性25〜29歳 30.6→59.0%
女性30〜34歳 10.4→32.0%
(出所)出生動向調査

この20年間で晩婚化が進んでいるのが一目瞭然。
なぜ、未婚率が高くなっているのだろうか。
結婚に縛られたくない、結婚したくないという人が増えているのだろうか。

またまた実際のデータを著書より引用してみると、

【データ】未婚のうち「結婚したい」と思う人の割合の推移 1987年→2005年

男性25〜29歳 93.9→88.0%
男性30〜34歳 87.0→83.7%
女性25〜29歳 91.8→91.8%
女性30〜34歳 83.8→84.3%
(出所)出生動向調査

結婚したいという人はどうも、20年前から余り減っていない。
ではなぜ、未婚率が高まっているのだろうか。

理由としては女性の社会進出、価値観の多様化をはじめ様々な要因がある。
ひとつの理由は、「出会いがない」というもの。
著書ではこの出会いがないというのは、額面どおりではなく、「結婚相手として都合のよい相手がいないこと」と述べている。

つまり、
(1)多くの女性が収入の安定した男性を結婚相手として望む
(2)若年男性の収入格差が拡大して、収入の不安定な男性が多くなる
—女性が結婚しない理由は、この期待と現実のギャップという。

【データ】女性は結婚相手に求める収入と、実際の男性の収入
<未婚女性の希望>
こだわらない29.7%/200万円以上4.3%/400万円以上26.4%/
600万円以上27.9%/800万円以上10.7%

<未婚の男性の実際の収入>
200万円以下32,4%/〜400万円 44.2%/〜600万円 20%/
〜800万円 3.5%/800万円以上0%

(出所)25〜34歳、東京。著者が03年に調査。

経済力がないと、子供も生めないし、育てられない。場合によっては家庭が経済破綻してしまう。

友人の結婚話もちょいちょい聞くようになってきた年齢。
まあそのうち、縁があればなんていっていたら気づけば独身中年になってるかも。

民主党政権になって、子供手当てや高校の授業料実質無料化など制度面では少子化対策に励んでいる。
しかし、そもそも未婚率の上昇、晩婚化への対策となる政策・制度を作らないと根本的な解決にはならないと改めて実感した。

日本のビジョンとして人口減、少子高齢化社会を受け入れ、人口規模に応じた経済に縮小していくというのであれば、未婚率の上昇、晩婚化も問題ないだろうけど。
僕らが中年になるころに、かつての経済大国日本というような、元先進国みたいにはしたくないな。

この記事を書いた人

園田博之/ライター
福岡出身。好奇心旺盛で、今はサーフィンにはまってます。

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