同世代がつくりだした、クリエーターのための作業場を通じて新しい空間を提示していくco-ba


オフィスなどの仕事場や作業スペースは、働いている人にとって、自分の作業効率や新しい発想を生み出すのにとても大切です。また、仕事場だけでなく、異業種の人との出会いやコミュニケーションをおこなうスペースとしても、”場所”というものが重要になってきます。

また、最近ではフリーランスなどの個人事業やスモールビジネスやスタートアップなどのベンチャーとして独立や起業をおこなう人も少しづつ増えてきました。1つのオフィス、1つの会社の中で働くという概念から、新しい人と新しい仕事、新しいプロジェクトなどを通じてともに働く、という生き方も、これからの働き方の1つとして認知されてくる日がくるのかもしれません。

そうなったときに、どういう人と働くか、どういった人たちと出会うかということがとても重要になってきます。一人で仕事をするにしてもカフェや図書館などではなく、同じ趣向や意識が共有できる人たちとコミュニケーションをしながら、新しい出会いや刺激、ノウハウなどの共有を図ることも大切です。

そんな働き方を支援する動きがいまじょじょに起きてきています。そして、その動きをサポートする動きとして、新しい場所を作り出している人たちがいます。株式会社ツクルバを運営している中村真広さんとの村上浩輝さんは、そういった新しい働き方に対して動いている同世代の人たちです。「co-ba」というスペースは、クリエーターのための作業場というテーマのもと、様々な人たちが同じ空間で作業しながら、互いにコミュニケーションをおこなったり、イベントやセミナーを開催するなど相乗効果をうみだしながら、創発をつくりだす場所を生み出そうとしています。

そんな空間は、ハチヨン世代の中村さん、ハチゴー世代の村上さんというまさに同世代は人たちが作ったスペース。そのスペースにかける思いについて伺ってみました。


左;村上浩輝さん(85年9月生まれ) 右;中村真広さん(84年11月生まれ)

クリエイターのためのコワーキングスペース – 渋谷co-ba(コーバ) – official site

これからのクリエーターのあり方とは

東京工業大学出身であるハチヨン世代の中村さんは、学生時代の体験が強く印象に残っていたと語ってくれました。

中村;僕は建築学科出身で、東工大の場合は学生一人一人につき作業用のデスクがあったんです。そして、深夜とかになっても先輩後輩がみんなで何か作業したりしてるのを横目にみながら自分も作業していました。ときおり先輩がきて、あーでもないこうでもない、って意見を言い合ったり、その場で議論したりと、24時間夜も徹して色々な人とやりとりをするのがとても楽しくて、そういう場所が作りたかった、というのが原点なのかなと思います

村上;もともと二人は一緒に不動産の仕事を一緒にしていました。一緒になにかやれたら、っていう思いがずっとあったんです。仲間らと池袋でカフェをつくったりと、人と人とが出会う場所をつくってみたい、という気持ちがずっとありました。一般的に、ロゴや内装などを受注して制作するなどがデザインの仕事だったりだったんですが、これからはもっと異業種の人たちと一緒に仕事することで、もっと仕事が面白くなっていく時代になると思うんです。自分のクリエイティブなものを発揮してもその発揮する場所や、仕事に対するワクワク感がなければ意味がないし、ビジネスライクな関係よりももっと気軽にコミュニケーションしながらつながっていける、そんな場所を提案していけたら、という気持ちから”co-ba”をつくりたいという気持ちになりました。


二人で施工したデスクまわり。大樹をイメージした空間は、作業場という呼び名にぴったり。

人と人とが出会える場、そんな空間づくりをしていきたいと考える中村さんと村上さん。これからの時代は、誰もが発信したり表現できる時代だからこそ、そんな数多くあるアイディアや才能をかけあわせることが重要なのだとお二人の話から伝わってきます。

村上;クリエイティブなビジネスをしていきたい、という思いをもっている人はたくさんいると思うんです。いまの時代、個人が発信していったり何かをつくりあげていくことが少しづつ可能になってきました。だからこそ、そういった思いをもっている人たち同士が気軽に出会えるような場所があることで、新しいものが生まれるのだと考え、まさに自分たちがほしいと思える空間をつくりたいと考えました。

中村;自分たちがもともと不動産や建築をやっている人間だったので、すでにある既製品のものではなく、できるところが自分たちで自作していきたいと思ったんです。だから、co-baのスペースはその多くが自分たちで施工したりしました。それ以外にも、スペースを利用したい人たちから使わなくなった家具などをいただいて再利用したりと、すでにあるものを提供するんじゃなく、自分たちや利用する人たちと一緒につくりあげていくことが大事だと思うんです。それ以外にも、スペースの壁はチョークでメモや落書きができる仕様にしたりと、面白い仕掛けも用意しています。色々な人たちの思いやアイディアを掛け合わせることで、新しいカタチをつくりあげていく、そんなコンセプトを空間という軸を通じて発信していけたらと思っています。


壁にチョークでメモしていく中村さん。

これからの世代に対しても提示していきたい

これからの時代に対する新しいカタチを提示していきたいと考えるお二人。建築という分野の人たちもぜひ興味もってもらいたいという思いもあるそうです。

中村;自分たちで設計しつつクライアントになる、って気持ちをもってる人も多くはないのかなと思っています。新しい空間づくりということを、もっとこれからの世代の人たちにも提示していけたら、という思いもあります。そういった意味で建築関係者にとってみても、いい研究材料になるのかなと思っています。学生時代に憧れていた建築雑誌に自分たちがつくったスペースが載るのも1つの目標ですね。そうしたことを通じて、いまの学生たちにも、もっとこれまでの枠にはまらないカタチを示せたらと思います。

村上;僕ら自身も利用している人たちと同じ目線で一緒につくりあげていきたいと思います。これからの時代は、あらゆる人たちと協働することで面白いものができていくと考えています。少しでも世の中が面白くなるような社会にできたらと思っています。

仕事をしたり誰かとおしゃべりする空間。一日の多くを過ごす時間だからこそ、少しでも快適で開放的な空間で過ごしたいものです。そして、会話から生まれる何気ないアイディアなどから新しい発想やプロジェクトが進んでいく。そんなワクワクした時間を過ごせる空間を作っていきたいという思いにつまったco-baという空間。これからの時代を過ごす何かのヒントになるのかもしれないですね。

同世代がつくりあげていく新しい働き方の提示。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
クリエイターのためのコワーキングスペース – 渋谷co-ba(コーバ) – official site