「”亀仙人街”って呼ばれている一角が茨城にあって、そこに入ってるスリランカ料理レストランが炊き出しをしたそうなんです」
外国人コミュニティ専門ブロガーのkat67さんからそんな連絡を受けた時、思わずつぶやいてしまいました。
「…か、かめせんにんがい?(笑)」
どうやら、茨城県には幾つかの外国人コミュニティがあり、特に常総市にはスリランカコミュニティ、さらにスリランカ名誉領事館があるとのこと。このコミュニティに暮らすスリランカの人々が、今回の地震で被災した福島県へと炊き出しへ3回も出かけている、という情報でした。
(炊き出しのレポートはkat67さんのレポートを参照)
でも何故亀仙人街…。
ということで、行ってみました。
茨城の「亀仙人街」でスリランカ・ランチを
ドキドキしながら現地に向かってみると、そこにあったのは…
ビルの名前からして、確かに「亀仙人街」でした。
どうやら、入居中の雀荘の名前から来ているようです。
福島で炊き出しをしたというレストランは、建物の1Fに入居している「ランディワ(RANDIWA)」さん。
さっそく、お邪魔しまーす。
店内にはどーんとスリランカ国旗。
ランチバイキングは980円で、3~4種類のカレーが出ています。デザートのプディング(ワタラッパン)やチャイ・コーヒーもおかわり自由。
という訳でまずは、いただきまーす!
カレーを食べていたらパン(ロッティ)とチリペーストが出てきました。
肉、魚、野菜の3種類をいただきましたが、うーん美味!
デザートのワタラッパンを食べ終えた頃、噂の炊き出しに参加したシェフと話をすることができました。
「炊き出しの前日は寝ないで料理したよ」と笑いながら言うシェフ。
「1,000人分、30kgの豚肉と100kgのコメを調理したんだ。先週で3回目の炊き出しだよ。スリランカ大使館が中心になって、茨城にある2つのスリランカ・レストランで調理して持っていったんだ」
そこに、オーナーが入ってきました。
「スリランカも、ツナミの被害に遭ったからね」
オーナーに気になっていた質問を投げかけてみました。
――炊き出しには、誰がお金を出したの? いくらかかったの?
「最初はスリランカ人のビジネスマンがお金を出し合って、食材を買いました。3回目からは大使館がお金を出してくれるようになったんですよ」
そう言ったオーナー。額については触れず、こう続けました。
「お金とかは関係ないんです。スリランカも、スマトラ島沖地震の時には同じようにツナミの被害に遭っています。そのときは80万人が亡くなったんですよ。1,000人以上が乗った列車もそのまま海に流されて、生きて帰ってきたのは数人だけ。僕の友達も亡くなりました」
「だから、すごく気持ちが分かる。それに、震災の現場を初めて見に行った時に(状況の凄まじさが)分かったんです。服だけで逃げ出してきて、何も持たない人がたくさんいる。僕は仏教徒だから、出来るだけたくさんの人を助けたいと思うんです」
「仏教徒だけじゃなくて、パキスタンのムスリムの人達とか、たくさんの人が炊き出しをやっています。今、私の炊き出し用具は千葉県の我孫子市の方にある団体で活用してもらっていますよ。炊き出し用具を回しているんです」
――ここは原発からそう遠くないけれど、母国の家族は心配してない?
「外国のニュースはすごく大げさだと思う。スリランカでも『雨が降ったら濡れないように』って言ってるくらい(笑)。でも、僕は日本に10年以上住んでるから、ここに友達がたくさんいる。皆、働いてる。私だけ逃げても仕方がないし、何があっても逃げたくないと思います」
「支援の手が回っていないところを探しています」
「今は、支援の手が回っていないところへ行きたい。小さな村とか、避難所とか。支援を受け取れていない人達の情報が欲しいです。大使館には、そういった情報はなかなか回ってこないから」
そう言いながらオーナーは続けました。
「日本はヒロシマを経験しているでしょう。その後頑張ってずっと良い国になった。これからも、きっと良い国になりますよ。今よりもずっとスゴイ国になります」
「お店の宣伝にしたくないから(僕の)写真は撮らないで」と言うオーナー。でも支援を続けてもらうためにも、お店にお客さんが来てくれなきゃ!と説得し、お店の情報の掲載許可をいただきました。
最寄り駅からはちょっと遠いですが、料理の味と人の温かさは一級品です。皆さんも、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。