岡本太郎「明日の神話」とChim↑Pom「REAL TIMES」を見てきました


「明日の神話」への足し絵事件で、ここ最近、世間をお騒がせしていたChim↑Pom「REAL TIMES」を見てきました。

岡本太郎「明日の神話」への足し絵事件

渋谷駅に設置されている岡本太郎「明日の神話」(1968-69)。
5/1に、福島第一原発を思わせる絵がつけたしされて、とても話題になりました。
(※落書きという報道もありましたが、絵ではない壁の部分に貼っただけ)

Togetter – 岡本太郎「明日の神話」に東電原発!??

で、後日この足し絵の設置の様子?らしき動画がYouTubeにアップされたのです。Chim↑Pomというアーティスト集団の、個展「REAL TIMES」の予告動画でした。

問題の動画はこちら。アップ時刻を見ると5/12のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=OTqokIecNhs

もともと賛否両論あったものの、Chim↑Pomが正体を明かしてからは、急にものすごい叩かれてましたね。

正直私も、「言わなければよかったのに…」なんて思ってました。


で、とりあえず、一般公開初日の5/20にこの展示を見に行ってみました。
彼らの行動の意味も、行かなきゃわからないかな、とも思いました。

Chim↑Pomとわたし

ここでいきなり回想シーンです。すみません。
(しかもなんかアレなタイトル・・・)
Chim↑Pomというアート集団はもともと現代アートの世界でも注目を集めている人たちで、私もこの件が起きるより以前から作品やパフォーマンスを見る機会が何度かありました。
ですが、私は個人的に受け付けないし嫌い。無理。
積極的に個展に足を運ぼうと思ったことはありませんでした。

今回の個展に行ってみようと思ったきっかけは、4/9の記事で紹介した”Art for Tomorrow”というチャリティ展で見た作品でした。

がれきの山の中にぽつんと犬がいる写真。
土で汚れた額に入れられていました。

たしかキャプションに、被災地の相馬市で拾った廃材と書いてあったきがする。
(うろ覚えなので違ったらスミマセン)

見たのは、震災のあった3/11から約1ヶ月後の4/13。
“Art for Tomorrow”の展示で、一番強烈に心に残った。
作品の前で足が動かなくなりました。

この一件が強烈に印象にあったので、今回の「REAL TIMES」も見に行こうと思ったのでした。
ちなみにこの作品は「日本犬」というタイトルの作品で、
今回の「REAL TIMES」でも展示されていました。

(↓この写真を撮影した時の、作家のブログ記事。写真もあります)
Chim↑Pomブログより – 相馬市へ

Chim↑Pom個展「REAL TIMES」

結論から言うと、行って良かったです。
震災直後の原発付近の様子や、被災地で撮影した写真・映像作品は胸を打つものがありました。
この展覧会から感じたことは、彼らの戸惑いながらのもがき、本気でした。

3/11の地震直後。
あのとき、誰もが”自分には何ができるか”を考えたのではないかと思います。
彼らにとって、”自分たちがすべきこと”はこれだったのかな、と感じました。

そういった意味で、すごく正直で、人間臭い展示でした。
アーティストの人間味がそのまま出ていたように思います。
どの作品からも感じるものがあり、心が揺さぶられました。

アートとしての評価はちょっとわかりませんが、
私は、このタイミングでこういう行動をとれたことがすごいことだと思います。
(福島に行って撮影したり、日にちのない中で展覧会に仕上げたり)
だから「REAL TIMES」なんだろうな、と。

テーマがテーマだけに”面白かった”とは言いづらいのですが、
展示を見に行ってよかった、と思いました。

展覧会リリース – 無人島プロダクション

「REAL TIMES」と「明日の神話」

Chim↑Pomによる絵が足されていた空白部分(右下)

展示に行ってみると、「明日の神話」の一件は、文脈の中の一部であることが分かりました。あれが創作活動であり作品、ではなかったと思います。
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