by bengrey
この「脳に埋めたチップによって記憶を複製することに成功」というニュースを見て、あれこれ妄想が膨らんだのでまとめてみた。
どんなニュース?
攻殻機動隊が現実に – 脳に埋めたチップによって記憶を複製することに成功 | DDN JAPAN
ポイントだけ抜粋すると、
海馬という脳の長期記憶を司る部位の機能を模倣したチップを使い、ラットが学習した記憶を複製することに成功。
脳につながれたスイッチを「On」することで長期記憶を復元し、「Off」にすることで忘却させることができた。
ここからさらに忘却したラットにエンコードした記憶を再インストールするとこもできた。
また、このデバイスをラットに繋いだ状態で学習を行ったところ、ラットの記憶能力を向上させることにも成功したという
すでに数年前には脳にチップを埋め込んだサルがロボットアームをコントロールする技術は確立。
つまり、少なくとも下記のことは実現できるだろうなと。
1.記憶のコピー
2.記憶の削除/復元
3.記憶の外部媒体への保存
4.記憶のインポート
5.記憶力の向上
6.埋め込んだチップで外部のデバイスなどを操作できる
7.埋め込んだチップ自体もおそらく操作できる
記憶はこんなふうに扱われるようになるのでは?
★クラウド化
脳に埋め込むチップを、Eye-Fiのように無線LANを内蔵したメモリーカードにすれば、クラウド化は簡単に実現できるだろうなと。
★保存、タグ付け、共有、編集
このニュースを見てすぐにイメージしたのがEvernoteと連携。クラウドに保存して、タグ付けして検索しやすくしたり、他のユーザーと共有もできる。もちろん編集も。(怖い)
★外部コンテンツの取り込み
記憶のインポートができるということは、例えば辞書・地図・レシピ・法令などのインポートもできるかも。
とくに「記憶の共有」がやばい(いい意味で)
色々できるようになることはあると思いますが、個人的にやばいと思うのが他人の記憶をインポートすることで可能になる「記憶の共有」。
★情報共有がスムーズに
ビジネスでの「ホウレンソウ」や、業務の引き継ぎが円滑になるかも。夫婦で記憶共有すれば、片方が働いている間の育児の様子も共有できるので、育児でのすれ違いなども予防できるかも。
★暗記が必要なくなる
漢字や歴史の年号などはインポートすれば暗記の必要はなくなり、もっと有益な勉強の時間をさけるようになるかも。
★言葉の壁が消える
語学に関する記憶をインポートできれば、読み書き、ボキャブラリー,文法はインポートできると思う。(発音は舌がすぐには慣れないとかあるでしょうが)
★写真や動画よりも鮮明な思い出の共有も
・友人間で「あいつの結婚式行ってきた?」「行ってきた行ってきた!記憶共有するよ」「うわー奥さんキレイだなー!うらやましー!」っていうことができるかも。
こんなビジネスが盛り上がる、誕生するはず
★記憶をクラウド化するサービス
前述のEvernoteやDropboxのような記憶のクラウド化を実現するサービスはものすごく需要が高まりそう。音楽専門、映像専門、夢専門とか出てくるかも。
★TSUTAYAの新しいレンタルもはじまるかも
映画も記憶のようにインポートできるようになるかも。ネタバレしないように、インポートした記憶を徐々に解凍するような技術や、又貸しを禁止する為にコピーコントロールは必須。
★映画「インセプション」のような裏のお仕事
映画「インセプション」のように、他人の記憶を盗んだり、意思決定に影響を与えたりできるようになるかも。
映画の中では「他人の夢に入り込む」という必要があったけど、別に夢に入らずとも脳(または記憶を保存しているクラウドサービス)をハッキングすれば、記憶を盗んだり、記憶を書き換えて未来の意思決定に影響を与えたりできるようになるかも。
★CtoCでの記憶の売買
漫画「バクマン」のなかに出てきた「この世は金と知恵」みたいに、CtoCで脳内情報の売り買いができる時代がやってくるかも。18禁や、瀕死体験、スポーツ観戦、歴史的な出来事(例えば東北大震災)の記憶などが売れそうな気がする。
★電子書籍ビジネス
電子化されているのでインポートしやすく、しかも電子データとして一文字一句忘れることなく記録されているので、記憶を反芻するように読めるのかも。特に辞書やノウハウ本、旅行ガイドなんかは需要がありそう。
★スピードラーニングよりすごい英会話教材
英単語、文法、発音、スラングなどまとめてインポート。
★記憶ダダ漏れ女子コンテンツ
朝ゴハン以外もダダ漏れ
etc…
生まれる新しい驚異
★バグこわい。
記憶を保存しているサービスが「バグで閲覧し放題」とかになったら怖いです。↓
Dropbox、バグで他人の情報を閲覧し放題に ― 4時間弱 – Mobile Today
★ハッキングこわい
記憶を保存しているクラウドサービスが閲覧し放題とかになったら怖いです。↓
今度はSony Picturesから個人情報流出か?ハッカーグループが声明 -INTERNET Watch
★ウィニー怖い
きっとウィニーのような(使い方によっては)リスキーな記憶共有サービスがでてくるはず。
★ウィルス怖い
ウィルスで記憶が消えたり、書き換えられたりしたら…。
★ストーカー怖い
「中学生、記憶のハッキング・無断閲覧で逮捕。動機は同級生の好きな人が知りたくて」みたいなニュースがでてくるかも。
誰が使うのか?
イノベーターが人柱に。
↓
お金持ち(上流階級)に広まる。
↓
一般(中流階級)に普及。
格差が広がる?
しかし、チップを埋めるには手術が必要。
↓
やはり先進国(生まれた時からお金持ち)から普及していく。
↓
当然、チップがあれば全てを暗記できるので、最終的にビジネスマンとして優位に。
↓
グローバル化で小さくなった格差は、再度開くのかも。
果たして幸せか?
元記事にも書いてありましたが、他人と記憶を共有できるようになることで、ますます「自分はいったい何者なのか?」と悩む人が増えそう。
いまでは普通にみんなが使っているコンタクトレンズも昔の人にとっては恐ろしい行為なんだろうなと思うと、これが当たり前の世界を想像するのは容易い。その時に人はすべての他人があたかも自分の事のように感じる世の中がやってくる一方、いったい「自分」とは何か?という問題に直面することもあるんだろうな。そしてそれはいつの間にか普通になって、僕らの意識は全く違う構造を持つことになるだろう。
ぼくが一番したいこと
こんな未来がやってきたとして、ぼくが一番したいことは「夢の保存」。
夢って朝起きた瞬間は覚えてるけど、家を出るときには忘れてしまう。
これを保存できたらとても楽しいだろうし、1日8時間睡眠なら人生が1.5倍くらいのボリュームに感じるかもしれない。
保存できれば検証もできるようになるので、PDCAを繰り返せば、それこそ夢をコントロールできるようになるかもしれない。
あ、これってインセプションの世界だ。夢から戻ってこれなくなるかも。
寄稿元:Think Globally