ヒーロー映画「キック・アス」が面白い!


なりきりヒーローが世界を救う

この年末年始は、大注目な映画がぞくぞくと公開されています。

 82年公開の「トロン」の続編として、完全3D映画として続編が公開されてる、ディズニーが贈る大作「トロン LEGACY」
87年に発売された村上春樹氏原作であり、映画にすることが不可能とまで言われた作品を映像化した、日本の文学作品が誇る大作「ノルウェーの森」
感動と興奮のアニメーション映画シリーズの完結編「シュレック フォーエバー」
などなど、年末年始は、家族や友達と一緒に観に行って感動や興奮を体験できる映画が目白押しではないかなと思います。

 しかし、そんな大作揃いのラインナップの中で、一味違う作品をここは推したいと思います。いや、2010年発表の作品の中でも、色んな意味で期待や興奮を与えてくれる映画の一つかなと思います。日本国内での公開規模はそこまで大きくないものの、作品自体は2010年4月に米国で公開して、全米初登場1位を獲得し、日本国内でも公開前から話題になっていた作品です。

その映画がこれ。
「キック・アス」

映画「キック・アス」

 東京ではシネセゾン渋谷などで12月18日から公開され、そこから順次全国公開がされていくのですが、東京での初日には全席完売し、回によっては立ち見がでるほどの人気の作品だったのです。

内容は、
冴えないアメコミオタクの高校生が、スパイダーマンやスーパーマンなどのようなヒーローに憧れ、自分で全身タイツを買い、”キック・アス”というヒーローになる、という作品。

 たしかに、これだけ聞くと、これまでのアメコミの作品と同じような感じかなと思います。
しかし、この主人公は、
冴えない
体力ない
モテない
というダメダメっぷり。
また、これまでのヒーローものにあるような特殊能力も一切ない。ホントに、普通の青年がただ全身タイツを着てヒーローにただ憧れてそれを目指すというものなんです。

 また、主人公以外にも、
個性豊かな自称ヒーローな登場人物が登場し、それぞれがそれぞれの正義や思いを持って行動していて、各登場人物それぞれが味があります。
主人公以外に、
・自分を陥れた組織への復讐を誓うバットマン風のヒーロー”ビッグ・ダディ”
・ダディにヒーローとしての英才教育を受けた暗殺少女”ヒット・ガール”
・パパに認めてもらうために金に飽かしてヒーローとなった”レッド・ミスト”
など、おのおのがもつ正義や立場が、それぞれの役割をすごく明確に表現されています。
 また、基本はアメコミをベースにしているので、内容としてすごくコミカルな部分があるのと同時に、ヒーローへの愛、親子の愛、など、様々な要素が入り組んでいるところも、ポイントの一つなのかなと思います。

 この劇場の作品は、この劇場版と同時並行でマンガの「キック・アス」も同時に作成していたそうです。もっというと、最初から映画化することを前提にマンガを制作していたということで、
映画の撮影が始まったときには、単行本は3巻、撮影が終わるころに、マンガ版の最終章の8巻ができたということにも驚きです。
つまり、映画とマンガの両方の脚本を同時に制作いていたということです。

ヒットガールがかっこいい

 また、この映画のある意味で一番注目してもらいたいな、と思うのは、数々の武器やナイフをいとも簡単に操るわずか14歳の少女”ヒットガール”こと、クロエ・グレース・モレッツの活躍です。

 作品の内容として、わずか14歳の少女が、ナイフや拳銃、ライフルなどの数々の武器を、それこそ「キル・ビル」並か、いやそれ以上に激しく華麗に操り、しかも、かなり生意気で、放送禁止用語連発(Cワードと言われるもの)、というキャラが登場するという内容が、映画作品としてどうなのか、とハリウッド大手の映画制作会社が難色を示したということ自体も話題にあるなど、ある意味挑戦的な作品だったのです。
 当初は配給されないのではないか、という懸念もあったのが、最終的にアメリカとイギリスの会社で配給が決定した、というくらいの問題作なのです。
 14歳の少女が激しく人を斬ったり撃ったりするシーンがあるため、恋人や家族と観に行く際には、ちょっと注意が必要かもしれません。

 また、”ヒットガール”演じるクロエ・グレース・モレッツは、それこそ「レオン」のナタリー・ポートマンや、「タクシードライバー」のジョディ・フォスターなどのように、今後の映画の注目を浴びる可能性の高い女優として、かなり注目されており、ヒットガールのように激しいアクションをものともしない役どころとその運動神経、14歳ながら復讐と作人を誓う少女という難しい役どころを上手く演じている彼女の役どころにも注目です。
(ぶっちゃけ、主人公を食ってるくらいの勢いですよホント!)

いい意味で期待を裏切る映画

 たしかに、激しいアクションや銃撃戦など、かなりのバイオレンスたっぷりな映画ですが、あきらかに現実から乖離した内容と、全体として流れるアメコミ的なポップな映像と音楽によって、どこか復讐劇のアクションがファンタジーっぽい感じも感じられるような気もします。

 「トロン」や「ノルウェーの森」などのような作品を観に行くのもいいですが、ちょっとお馬鹿っぽくて、でも家族愛やアメコミの醍醐味と興奮を味わえる「キック・アス」を観に行ってみませんか。
僕自身、観に行って、期待を裏切られるくらい、楽しかったし面白かったことは、たしかです。

 予告を見て、そして本編を見たあとに、自分が思った以上に期待を裏切られた内容だったと思えれればと思います。

映画「キック・アス」

『キック・アス』(117分/アメリカ=イギリス/2010年)
原題:Kick-Ass
公開:2010年12月18日
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
劇場:シネセゾン渋谷ほか全国にて順次公開
公式HP:http://www.kick-ass.jp/

<STORY>
アメコミオタクのデイヴは、NYに暮らす高校生。女子には相手にされず、もちろん童貞だ。ヒーロー熱が高じ、ネットで買った緑のタイツを着てヒーローに変身し、街に出たデイヴ。彼が悪者と戦っている姿がYouTubeにアップされ、「キック・アスだ」と名乗ったものだから、キック・アスは大人気に! しかし、自分に自信を持ち始めた彼にはケイティという彼女ができ、ヒーロー活動をさぼりがちになってしまう。ケイティを悩ましている麻薬の売人のところに話をつけに行った時、ヒット・ガールと、ビッグ・ダディという別のヒーローに出会い…。

原作:マーク・ミラー/ジョン・S・ロミタ・Jr.
製作:ブラッド・ピット
製作・脚本・監督:マシュー・ボーン
脚本:ジェーン・ゴールドマン
出演:アーロン・ジョンソン/ニコラス・ケイジ/クロエ・グレース・モレッツ/マーク・ストロング/クリストファー・ミンツ=プラッセ/マイケル・リスポリ/ヤンシー・バトラー/ジェイソン・フレミング/エリザベス・マクガヴァン/ギャラント・M・ブラウン/リンジー・フォンセカ