「84プロジェクト」を突撃訪問してきた


「84プロジェクトってなに? ということで、尋ねてみた」

こんにちは、84ismライターの桃子です。
以前、84ismでも取り上げました「84プロジェクト」
とっても親近感がわく『84』つながり(こころなしかロゴも似ている…?)、でも、どういうプロジェクトなの? ……ということで、84プロジェクトの事務局員、川村聡志さんにお話を聞いてきました!

この「84プロジェクト」。今年3月末にNPO化するということなんですけど、いったい84プロジェクトって、なんなんですか??

「84プロジェクト」 って?

84プロジェクトの本拠地は、四国の高知県。
私たち84ismの『84』とは1984年のことですが、では、84プロジェクトの『84』っていったいなんなんでしょう。
私の質問に、川村さんは「高知は84(はちよん)なんですよ」とニヤリ。
え? 高知=84って、どういうこと!?

「実はですね。高知県の84%は森林なんです」
なんと、高知県は84%(ってほとんどじゃん!)が森林なんだそうです。その森林率は全国1位。ちなみに2位は岐阜県の82%。
「高知県は経済46番目の県。いままで、経済を生まない山はマイナスでした。しかし、その森をCO2を吸収するマシンだと考えたら、高知県は日本一なんです」
なるほど。そう考えると、高知県は全国でもっとも巨大なCO2吸収マシンを持ってる県ってことになるんですね!
「高知の森林は何万ヘクタールです、と言ってもぜんぜんイメージわかないですよね。それを『84』っていうわかりやすい数字にすることで、みなさんに興味を持ってもらえればいいなと」
プロジェクトの発案者はグラフィックデザイナーの梅原真さん。一次産業再生をテーマに高知で活動しているデザイナーさんです。
84プロジェクトのビジョンは、『いちばん森の多い国 その天然資源をブランド化する』こと。3月からのNPO化は、84%の豊かさをより広く発信していくためだそうです。

大学生 兼 はちよんNPO職員

笑顔で丁寧に説明してくださる川村さん。彼は現在、高知大学の3年生です。
「僕はずっと高知から出る気はなかったですね。小さな頃からなんとなく、山っていいなあって思ってたんです。目が疲れたら山を見ろとか言うじゃないですか(笑)それで見てたからかな。山や森が好きで、森をエネルギーにできたらなあと思って、農学部に入ったんです。研究者になろうとも考えた時期もあったけど、もっと現場に近いことができたら、と思うようになった。ふつうの企業に入るっていうのは、選択肢になかったですね」
高知大学の学生団体で、代表として、森や木造建築のセミナーをおこないながら活動をしていたところ、84プロジェクトを知ったそうです。「若い人たちと一緒にやっていきたい」と2010年末にお誘いを受け、4月にできる84(はちよん)NPO事務局の職員になることが決まったのです。
84プロジェクトの実行委員会は、他にもお仕事をしている方が集まって活動しています。NPO化されれば、専任の職員は川村さんとNPO事務局長の2人だけ。プレッシャーもあると口にしながら、それよりも期待のほうが大きいと、目を輝かせて語るその表情から伝わってきます。

「84」の可能性

では、今までは、どういう活動をしてきたんでしょうか。
「まず、『84(はちよん)』を知ってもらうこと。『84』のロゴが入ったツナギを作り、山で作業する大工さんが着たり。「CO2のカンヅメ」という、一目でCO2の吸収量がわかる製品を作ったり。デザインというものを使って、今まで伝わっていなかったことを、わかりやすく伝えられる形を作っていこうとしています」
高知県内のさまざまな場所で活動する人たちと、アイデアを出し合い、デザインして、形にしていく。
そのなかで、川村さんが気になることを言います。
「この『84』という数字は、高知の森だけでなく、川であり、里であり、海なんです」
それは、すべての自然はぜんぶ繋がっているということ? とざっくりしたことを考えていると、川村さんはこう説明してくれました。
「川、里、海…高知の豊かな自然は、すべて84%の森林があるからなりたっていると考えられます。なので、ある人が見れば、杉の花粉だって84だし、川を泳ぐ鮎も84だと言える。いままでバラバラだったものが、「はちよん」と言葉にすることによって繋がっていく。『84』は、すごく可能性のつまっている数字なんです」
高知の自然をあらわす『84』という数字を掲げる「84プロジェクト」とは、大きな経済を生まないマイナスだと考えられていた高知の自然を、ひとつの価値観にしているんですね。
『84』というひとつのカタチを打ち出すことで、それを高知の売りや産業にしていこうという流れができているようです。

たとえば、今計画されているのが「84やさいカフェ」。
高知龍馬空港のちかくに、ビニールハウスを利用したカフェレストラン&オーガニックマーケットの建設を計画中とのこと。
なんとそのカフェ、屋根がスライド式になっていて雨の日でも大丈夫! 台風の国・高知ならではの知恵ですね。「金をかけずに知恵を使う」、これが土佐の生き方なんです。
「面白いこと。これが大事です。思いを伝えていくにしても、おっと思うようなサプライズが重要。84やさいカフェも、畑の真ん中になんか変なものがあるぞ!?というサプライズになれば」
HPで、84やさいカフェの構想イラストや模型も見られます。なんだか面白そうな、工夫いっぱいのカフェですね!? 完成が楽しみです。わくわく。

「『84』の可能性は、まだまだ未知ですね。アイデアがほんとにいっぱいあって、地域を活性化させようという方がたくさん84プロジェクトに関わっている。それらを、ひとつひとつ実現に向けて動いていくのが、僕の役目かな」

『84』であることが、アイデンティティに

「『84』をコンセプトに、なにか新しいことができませんか?一緒になにかしていきませんか?と地域と密接に関わっていくつもりです」
NPOの事務所が完成したら、誰もが気軽に訪ねて来られる場所にしたい、と川村さんは言います。
高知の自然、現場に接していたいという思いから、地元を離れなかった川村さんらしく、地域と密に繋がっていくことはとても重要なようです。
「ここで過ごすことに幸せを感じるという価値観を、これから作っていけたらなあと思います。84%もの豊かな森林を持っていることが、県民全体のアイデンティティになればいい。そして、高知に住む人だけでなく高知を離れた人も、故郷を誇りに思えるような文化を、『84』で作りたいです」
84、というふたつの数字が、高知県のアイデンティティになるように、84プロジェクトはNPO化してますます活動していくことでしょう。

森と日本と84ism

日本一の森林率を誇る高知県。
高知県だけじゃない。日本の森林率は67%もあるのです。なんと、このちーさな島国の7割近くが森林らしい!
その自然とわたしたちは、どう共存しているのでしょう?

すみません。急に話を飛ばします。
アフリカ大陸には広大な耕作に適した土地があり、適切に開発されると、南スーダンだけでアフリカ大陸全体で必要な食料が賄えるらしい。そして現在、70%のアフリカ人がなんらかのかたちで農業に携わっているといいます。けれど、栄養が不十分な人が、20年前より1億〜2.5億人も増加しているのです。
アフリカの耕作に適した土地のうち、4%しか灌漑されておらず、使い尽くされた土地を酷使している状態なのが原因だそうです。
……と、ビッグイシューに書いてありました。

まあ、受け売りしてまでなにが言いたかったのかと言うと、
人と自然とは上手に付き合っていかないと、互いの益にならないよー、それどころか、互いにとってマイナスになっちゃうよー、ということです。

いままで高知の84%もの森林は、経済を生まないし、人も住めないし、つまりマイナスだと考えられていたのです。
それを84プロジェクトは、「もったいない!」と言ったわけです。
84%もの豊かな森を、高知で暮らす人たちにとっても、地球にとっても、よりよく活用し誇りにできるようにしよう。
それが、84プロジェクトなのです。

今回、『84』繋がりということでお話を聞かせていただきました。
おなじハチヨンといっても、84ismとはぜんぜん違います。(あたりまえか。)
わたしたち84ismも、1984年度生まれ(=84)を誇りに思えるように、これからのアラサー世代を過ごしていきたいものですね。