“働く”って、めんどくさくね? vol.02「生きることだけに真剣になりたい」


こんにちは。
日本一周旅行中の桃子です。

今回ご紹介するハチヨンは埼玉県在住の主婦の内田さん。
「主婦っていうより…農婦かなあ」
という印象の彼女は、毎日畑に向かい、自分の食べる物は自分で作っている。

今回は、そんな彼女のライフワークである畑にお邪魔させてもらいました。

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太陽に一礼して足を踏み入れた畑では、何種類もの野菜が収穫を待っていた。
大根、人参、空豆、ジャガイモ、里芋、ゴボウ、小麦 …
畑でそのまま、とれたての大根と人参をお味噌でいただく。
ビールをお供に。ピーマンの種まきもさせてもらった。

ハチヨン世代である華代さんは、旦那さんが働いている平日は毎日畑に通い、野菜を育てている。いわゆる「仕事」ではないので、雨の日は休む。土日はご主人と畑を楽しむことも多いという。

生きることだけに真剣になりたい

“働く”って、めんどくさくね? vol.02「生きることだけに真剣になりたい」

プロフィール
内田華代(農婦/埼玉県狭山市)
1984年7月12日生まれ。岐阜県揖斐郡出身。大阪の専門学校グラフィックデザイン科を卒業後、東京の広告制作会社でデザインを担当。2008年退職し、海外へ。帰国後、結婚。今は埼玉県で専業主婦をしながら、畑で自分たちの食べる野菜を育てる生活。この夏、お米作りにも挑戦とのこと。

自然を感じながら生きていきたい

バリバリ働いていたのに、なぜ今の農的な生活へ?

結婚する前から「自給自足」の大切さを彼と話してて、結婚を機に一から野菜作りを始めたんだ。
私はもともと東京の広告制作会社でデザインをしていたんだけど、常に矛盾を感じていたのね。
たとえば、エコが流行ったりすると、なにかエコを使った商品を…となる。この商品売ったらエコじゃないだろ!と思いながらも『わたしたちの企業は自然環境に配慮した…』『未来の子どもたちのために、今、わたしたちの会社があります』みたいな広告を提案しなきゃいけなかった。案としては出すのは楽しいけれど、これってなんか嘘ついてるよなーっていう違和感があって…。そういった矛盾は、仕事以外でも感じることが多かったな。

たとえば、他にはどんなことを感じたの?

私は地元が岐阜県の揖斐郡で、そこには使われていないダムがあるのね。そこに住んでいる人たち自身はエネルギーを使わない生活をしているのに、ダムは都市の生活を潤すために作られるでしょう? しかも、作るだけ作って、実際には使われていないの。私は、自分が都市に住んでいることでその人たちの生活を犠牲にしているんじゃないかって感じてたの。

大人になって社会のいろんな問題を知っていくにつれて、自分のやっていることって実はいろいろと自分の気持ちと矛盾してるんじゃないかな、という思いが強くなった。仕事は楽しかったけど、人間としてちょっと忘れている部分がいっぱいあるかなーと思ったの。
それで、自分のなかでの矛盾をなくすには、自分自身の生活を根本的に変えるべきだろうなという結論に達したんだよね。それにもっと気持ちよく生活したいな、とも思った。やっぱり違和感を感じながら生きていくのは辛いって、そう思ったの。

違和感をなくして自然に生きるために、自給自足を?

そう。今、食に関してはけっこう自給自足に近い形ではあるかな。スーパーで豆腐買ったりするけどね。
野菜はぜんぶ自給自足で、季節のものを食べてる。冬だったら、白菜とか大根とか人参ばっかりになっちゃうんだけどね。でもそれだけでも体調はいいし、本来はそれが自然なことだし。冬にトマトとかきゅうり食べるのは、もともとは不自然だよね。
私としては、そのままの自然を感じながら生活していきたいなと思う。

実際やってみて、この生活はどう?

すごく生きるのが楽になったよ。

食べ物を自分たちで作る生活を始めたってことだけじゃなくて、やめたこともいろいろあるの。化粧、歯磨き粉、化粧水…必要ないと思ってやめた。洗濯するのにも、洗剤を毎回入れるのをやめて最低限にした。そうやってどんどん周りの環境を変えていくことで、ひとつひとつがすごく楽になったんだよね。
旅行に行くのにも、化粧ポーチとかコンタクトの液とかいろいろ詰め込んでたのが、歯ブラシだけ持って行けばいいし。それは、ものをシンプルにすることで楽になるっていうだけでなく、生き方をシンプルにすることで、生きるっていうことも楽になっていくんじゃないかって思ってる。

今だって、たまにはカフェにも行きたいし、旅行もしたい。そこはあんまり厳しく線は引いてないけど、あれもしたいこれもしたいがどんどんなくなっていけば、楽になっていく気がしてるんだ。物ひとつにしてもいろんな人が命かけて作ってるものだから、使っちゃダメだと思ってるわけでもないし、実際使ってる。ただ、必要最低限でいいかなーと。今まではやたらと、無駄に買ってたなーと。

今の生活を、自分の子どもに見せたいから

もっともっと、生きるってことだけに真剣になりたいな。今の世の中はお金さえあればほとんどのものが手に入ると思うんだ。便利な世の中だからこそ、食べることとか、基本的な生活に対して真剣になりたいなーと、本当に思うんだよね。

具体的にはどうしていくつもり?

実はまだ模索中なんだよね。
田舎でゲストハウスを運営するとか、保育室を森の中で作りたいとか、いろんなことを考えていたんだけど、まだこれと言って決定打はないかな。でも、今の生活の基盤を崩すことはないと思う。今まで見てきたことや、自分たちのこういう姿を、自分の子どもに見せて過ごしていきたいから、この生活はずっと変えたくないな。

どこで暮らすとか何をするとか決めかねている自分がいるけれど、逆に最近は、別に何もしなくてもいいんじゃないか、と思うことがある。なにかする必要があるのかって。
今の生活になるまでには、いろいろなことが重なって、自然な流れがあってここにたどり着いている。最近になって「別に何もしなくてもいいんじゃないか」って思うのは、それもまた、そういう流れなのかなという気もしているよ。

みんなへのおすすめ – 玄米最強!

玄米菜食最強だよ。

私は小さい頃からひどい慢性便秘だったのね。きちんと毎日3食たべてても、薬を飲みまくっても、一週間以上出ないのはざらだったの。でもね、玄米菜食にしたらすぐに治ったよ。
だから、もしそういうことで悩んでいる人がいたら、食生活を変えるのをおすすめしたいな。

“働く”って、めんどくさくね? vol.02「生きることだけに真剣になりたい」

2歳年上の夫・内田悠太さんと。

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丁寧に、言葉を選ぶようにして笑顔で話す内田さん。
一言一言から、意志の強さと自分への厳しさがにじみ、こちらの背筋も伸びるよう。
けれど同時に感じられる優しさが、魅力的でした。
となりにいる旦那さんが彼女にメロメロなのも、わかるかも。

久々に、爪に土挟まる午後。

人参がこの世で一番嫌いな私ですが、とれたての人参の甘かったこと。

その晩、内田家で玄米ごはんをごちそうになると、あら不思議。
翌日うんこがしっかり2回出ました。いつも便秘なのに…
玄米菜食、やるじゃん!?!?

またひとつ、ハチヨン世代との出会いに感謝です。

グッバイ便秘!

“働く”って、めんどくさくね? vol.02「生きることだけに真剣になりたい」