アートとITの素敵な関係


みんながアートを楽しめたらいいな

みなさんは、美術館に行く機会はありますか?

美術館とか博物館って、ちょっと敷居が高いなーって感じている人も、中にはいるのではないでしょうか。
古代文明の遺物から、伝統的な芸術、現代アートまで、アートは個々人の感じるままに自由に楽しんでいいはず!私はそんなふうに感じています。

アートを楽しむ土壌を育てる。
そんなテーマにITの果たす役割とはどのようなものがあるのかな?と、個人的にそんな興味があって、先日、MCDN(Museum Career Development Network)による、ミュージアムでのWEB活用についての勉強会に参加してきました。
アメリカのミュージアムにおけるIT利用のここ10年の潮流を、サイト紹介を交えてお届けします!

WEBを通してアートを体験!美術館のコンテンツ

まずはじめに紹介されたのは、アメリカ・ワシントンのナショナルギャラリーが、10年以上前、インターネット普及期に公開した教育コンテンツ。
美術館に足を運べば実物の作品を見ることができますが、やはりアートに触れる機会の限られる地域もあります。全国の子供たちがアートを体験するために、WEB上で提供されたサービスたち。もちろん全て無料で、誰もが使えるようになっています。


NGA kids

↑10年以上前にこのクオリティのコンテンツを無料で提供したというのは本当にすごいと思います。
本気が感じられます。


NGA CLASSROOM For Teachers and Students

↑いろいろ紹介された中で、私が気になったのは、NGA CLASSROOMの、学校教育の中で使う教材のサンプル集。
たとえば絵画に対して、いくつかの質問が用意されたワークシート。
「この絵に描かれている場所はどんなところだろう?」などといった、生徒たちが様々なストーリーをふくらませることのできそうな質問が用意されています。
「これが○○という絵で、××という有名な画家が描いたのです」と言われても面白くないけれど、一枚の絵に対して自由な想像を膨らませれば印象に残りますよね。

私が小学生の頃の美術の授業って、自分で絵を描く授業は楽しかったけど、資料集を使っての美術作品に関する授業って本当につまんなかったんだよなー。
美術の授業は大好きだったのに、その時間だけは退屈で嫌いでした。美術館に実際に行くのは好きだったんですけどね。もう15年ぐらい!??前の話になるから、今の授業のカリキュラムは内容がけっこう違うかもしれないですね!学校での美術教育に携わっている方がいましたら、ぜひ教えてくださいね。

興味を持って覚えている作品が1つでもあれば、そこから、アートとの出会いは必ず広がっていきます。こうしたコンテンツのサンプルを提供し、教師のスキルをサポートすることで、全国の学校教育の質を向上する。それを活用できる素地を持つ教師を育てる。
そんな大きな戦略の一部として展開されています。

やっぱりデジタルアーカイブは真骨頂

そして、やっぱり美術館×ITというテーマではずせないのは所蔵作品のアーカイブですね。


THE COLLECTION / NATIONAL GALLERY OF ART

作品をデジタル化&WEBで公開することで、はじめて可能になることはいろいろとあります。
研究者も一般人も、世界中の様々な人が、それぞれの用途に合わせて利用することができます。
大学のレポートなんかにも重宝しそうですし、観光に行くのに見たい作品をリストアップしてもいいですよね!

また、ミュージアムのコンテンツ限定の話ではないと思いますが、デジタル化の一番のメリットは、メタデータをつけられること(情報へのタグづけ)。
情報の価値が、アナログの世界とは異なってきます。情報へのアプローチも進化していく。少し話がそれますが、その過程自体が、デジタルヒューマニティーズというかたちでひとつの研究分野になってしまうんですね。
うーん、深い。そういう研究分野があるなんて知らなかったです。ITのチカラを感じますねー!

ここ2年のトレンドは、動画

数年前からは、コンテンツのデジタル化から、皆が利用することのできるプラットフォームの開発に潮流は変わりつつあるようです。中でも動画の共有は、ここ2年で盛り上がってきたそう。


ART BABBLE

↑ART BABBLEは、インディアナポリス美術館による、ミュージアムに特化した動画サイト。


OPERA / OPEN Research platform for the Arts

↑こちらは日本のサイトです(慶応義塾大学による)。
アート関連の動画共有のためのプラットフォームとして、無償で公開されています。(アート系のプロモーションにも活用OKだそうです!)

ミュージアムにおけるWEB活用にも、いろいろな切り口がありますね。
でもやっぱり流れは、ミュージアム側からの一方向の発信ではなく、利用者も発信者になることへ移り変わっているのかなあと思いました。
参加前はもう少しソーシャルメディア寄りの内容を想像していたのですが、今後テーマとして取り上げられていくもよう。継続してチェックしていきたいと思います。

アートとITの素敵な関係

日本に住む私が感じているだけでも、アートとITの間には良い化学反応がたくさん起きています。

現代アートにおいては、たとえば映像作品からインスタレーション作品まで、表現の手段として自然に入り込んでいます。
古い寺院などの、創建当時の再現にCGが用いられることも、もう当たり前になってきましたよね。夏に、10円玉の平等院鳳凰堂に行ったのですが、当時の様子がCGで再現されていて、素晴らしい色彩美でした。

鑑賞のサポートにおいてもどんどん取り入れられているようです。
先日、国立新美術館のゴッホ展に行ったのですが、音声ガイドがハイテクでした!
案内のパンフレット上の絵を専用ペンでタッチすると、イヤホンからその絵の音声解説が流れるというガイドになっていて、面白かったですよ。

美術館のiPhone アプリも少しずつ登場しています。
アート関連のiPhoneアプリでは、現在地の周辺の展覧会を検索できるアプリなどもあり、たまたま時間ができたときなどに重宝しています!iPhoneアプリはいつでも持ち歩けるのが、今までにない価値ですね〜。

先日紹介した各地の芸術祭なども、遠くに住んでいても、いつでもリアルタイムな情報を手に入れられるのはITのおかげですよね。
芸術祭では公式Twitterアカウントやハッシュタグをもうけているところも多いです。美術館やギャラリーも、Twitterアカウントを持っているところがかなり増えてきました!そこからはじまるつながりや盛り上がりも、注目ですね!

なんかテンション上がってきた!IT最高!!!(笑)
・・・すみません。(笑)

とにかく、アートとITの間には、これからもどんどん面白いことが起きてきそうな予感です。
ITのチカラが、もっともっと、人とアートを近づけてくれたらいいな、と思います。